中高年登山者へのアドバイス
中高年者の遭難事例と反省点

 登山者の基礎知識

(1)

 最も危険な「返咲型」登山者

 ア 継続型〜若いときからずっと登山を続けている

 イ 目覚型〜登山初心者で登山に魅力を感じはじめた。

 ウ 返咲型〜若い頃に登山経験があり登山を再開した

 今の体力に合った山を選び、周囲のアドバイスを聞き初心に返ることが大切。
 若い頃に比べて運動神経は鈍り、体力も低下している。今の体力を把握して、それで登れる山を選ぶ。山は自然の中にあり、登山道も自然の力で変わる場合がある。昔の記憶だけに頼らず確認を怠らないこと。返咲型登山者は要注意。

(2)

 ツアー登山に参加する初心登山者へ

 疲れていても集団のペースに合わせなければならず、休みたいと思っても休めない、途中で止めたいと思っても止められないのがツアーや集団での登山。登る山を事前に調査し自分の体力で大丈夫か否かを検討して決めることが大切。「連れて行ってもらう。」のではなく「自ら参加する。」意識が大切。

(3)

 低山で登山の基礎を学ぶ

 歩き方の基本を学ぶ

 低山でも樹林帯、沢、ガレ場、岩場、急斜面等の様々な場所が経験できる。歩調や体重のかけ方、靴底の接地角度等、その場の状況にあった歩き方を学ぶ。

 規則正しい登はんを

 通常50分歩いて10分休憩がワンピッチ。歩くのが40分でも1時間でも良い。要は規則正しいピッチを繰り返すこと、「急斜面だったので20分で休憩」という不規則さは長時間の登山には向かない。

 ガイドブックとの比較

 ガイドブックの時間と実際に要した時間を比べてみる。自分の力が確認でき、登山計画の時間配分が可能となる。

 読図を覚える

 登山で使用する地図は、国土地理院発行の「2万5千分の1」、又は「5万分の1」の地形図であるが、2万5千分の1の方が情報量が多い。ガイドブックと併用しコンパスを使って、現在地を図上に落とし、目で見える風景を地形図の記載と照らし合わせる。地図をみて現場の風景をイメージできるようになれば読図を覚えたといえる。

 地形図の基本 「2万5千分の1」の場合

 図上の1cmは、実際には250m

 等高線の線と線の標高差は10m、50mごとに太い線(計曲線)が印刷

 地形図上の破線は、幅が1.5m以下の道路。

 地形図の北(真北)とコンパスの北(磁北)は異なり、西に偏っている。
 (地形図の右側に「磁針方位は西偏約何度何分」と記入されている。)

(4)

 必要な装備

 登山靴〜安全と疲労防止のため、底が固く足首まであるブーツ型が良い

 ザック〜縦長でサイドポケットが大きくない30リットル位が良い。

 ズボン〜伸縮性のあるものが疲れにくく、行動し易い

 ヘッドライト〜両手が使え便利(日没前下山予定でも必携)。

 通信機器〜携帯電話やアマチュア無線機、予備電池も含む

 非常食〜非常時に備え1日分位(日帰り予定でも必携)。

 雨具〜セパレーツタイプ、通気性の良いゴアテックスがより良い。

 ステッキ〜上りは短く下りは長く、特に下山時に効果がある

他にも数多くあるが、最低でも上記の装備が必要(冬山を除く)。

注:アマチュア無線機は、免許及び資格が必要で、原則として目的外使用が禁止されています

 

 遭難原因と防止措置

 疲労が溜まると、注意力が散漫になったり、バランスを崩したときに体を支えられなくなり、滑落や転落、転倒事故が起こりやすい。出発前日は十分睡眠をとり、早朝に登山を開始し午前中には山頂に着くようにする。
 夏期は午後になると霧が発生するため午前中の方が展望が良い。雷や雷雨の発生は午後に多いので、雷等が発生する前に下山するよう計画する。
 万一、日没となってしまった場合は、行動を中止し、雨や風を避けられる場所を早めに探し、夜間は行動しないで体力の消耗を防ぐ。

(1)

 滑落・転落

 登山中の事故で最も多いのが滑落と転落で、下山時に多く発生している。下山時の方が危険であり、緊張感をもって慎重に行動しなければならい。

〜下山時は、靴ひもを締め直すと同時に気持ちも締め直す。〜

(2)

 道迷い

 迷ってからでは手遅れ。常に現在地を確認しておくことが大切。
 「地図にない」、「最近人の歩いた形跡がない」、「草木が道の中に生い茂っている」、「顔や肩に枝が盛んにぶつかる」等は登山道ではない。「おかしい」と思ったら無理をせず、すぐに道標等の目標のある地点に戻ること。どの方向に進んだら良いか分からなくなった時は、斜面を登り尾根を目指す。谷に入ってしまうと滑落や転落の危険があり、また、ヘリコプターでの捜索の際、発見しにくくなる。

 

 参考文献

 このアドバイス作成に当たり、次の本を参考としました。

(1) NHK趣味百科「中高年のための登山学」〜安心山歩きのすすめ〜

(2) 文部科学省「楽しい登山」〜中高年の安全な登山のために〜


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