山歩きの「基本」と「コツ」

1 春・夏・秋山の服装(無雪期)

長袖シャツ

  • 長袖で、保温性に優れ、濡れても冷たく感じないウールと化学繊維の混紡で
    スリーシーズン用が便利。
  • 長袖は、日焼け、虫刺され、木の枝から皮膚を守り転倒の際に体を保護してくれる。

ズボン

  • 長ズボン又はニッカーズボン、ウールと化学繊維の混紡でストレッチのきくゆったりした
    スリーシーズン用が便利。
  • ニッカーズボンは、膝の動きが楽で裾が邪魔にならないので人気がある。
  • ジーパンは、濡れると重くなり、体の動きが悪くなるので登山には全く向きません。
  • ショートパンツは、転倒時にケガ、足腰を冷やすので登山には全く向きません。

登山靴

  • 捻挫を防ぐために、「足首」までしっかり包むゴアテックスか革製の「軽登山靴」がよい。
    靴は山歩きの命。
  • 靴を購入する時は、足が大きくなっている夕方に。靴下は少し厚手の製品1枚で十分。
    足にフィットしていることが大切。
  • 山小屋・旅館では間違いやすいので、名前や目印をつけること。
  • 新しい靴は履きならしてから使う。
  • 靴のひもは、登りは少しゆるめに、下りはしっかり結ぶこと。

雨具とカサ

  • 上着とズボンが分かれたゴアテックス製品がよい。
  • 上着、ズボンとも、防風・防寒具として兼用できる。
  • 良質な製品を用意すること。
  • 一番上に着るので、一つ大きめのサイズを選ぶ。雨天の日は気分も暗くなるので明るい
    カラーのものを。(万が一のときは、目立ちやすい)
  • 雨具を着用したら、休憩の際に湿気をぬくこと。足のさばきをスムーズにするため、
    ヒザ下をゴムバンド等で止めると歩きやすい。
  • 天候の急変は日本の山岳では当たり前。なお、気象を把握することは非常に難しいため、
    天気予報で降水量「0%」でも雨具は、必ず持参すること。
  • ビニールのレインコートは全く役に立たない。(厳禁)

肌着(アンダーウェア)

  • 汗による不快感や冷たさが少ない新素材の肌着が優れている。綿製品は、登山中は、
    着用しないこと。
  • 綿の肌着は、濡れると保温力がなくなり、体を冷やすので厳禁。
  • 女性は、身体を締めつける肌着は着用しないで、伸縮性のあるもの(スポーツ用)を
    着用すること。

帽子

  • 落石や木の枝などからの頭の保護、防寒、日よけ、雨よけ、日射病を防ぐ。
  • 風で飛ばされないように「ヒモ」をつける。
  • 早春、晩秋、雪のある山では、耳まで覆う帽子が必要。
  • 記念バッジなど金属製のものは「雷」が落ちるのでつけない。

防寒着

  • 山の朝・晩などは、冷えるので夏山でも“薄手のウール”のセーターを持参すること。
  • セーターは、シャツの下に着ると、保温効果が高まる。

2 行動用具(必需品)

ザック

  • 大きさや形は、山行スタイルによって使い分ける。ザックは、日帰りで25g 、
    1泊〜2泊で35g、2〜3泊で45g、3〜5泊で60g位が目安です。
  • 購入の際は、体にあったものを選ぶこと。シンプルな製品が使いやすい。
  • サイドポケット、ウエストベルトの付いたものがよい。
  • 雨対策として「ザックカバー」も用意する。風で飛ばされるので、「ヒモ」を付ける。

水筒

  • 容量は、1リットル位のアルミ製品で「防錆加工」してあるもの。
  • 下山するまで全部を飲まないで、必ず残す習慣をつける。
  • 水筒には水(湯冷まし)を入れる習慣をつける。水は、救急薬品。
  • 人間の体重の65%は「水」です。休憩時は、一気に飲まないで、少しずつ
    ゆっくり飲むこと。
  • 飲むときは、口に含んでからゆっくりノド元を通すと少量ですむ。
  • 水場では、補給する習慣をつける。そして、水場は汚さないことがマナー。

ヘッドランプ

  • 行動中は、両手を空けなければならないので“ヘッドランプ”を携行すること。
    日帰りでも必ず携行すること。
  • 電池の予備を持参すること。節約して使う習慣を。
  • 電池寿命は、非常に短いので要注意。リチウム電池は、寿命も長く、低温でも効果が落ちない。

手袋

  • どんな山行でも「手袋」持参。
  • 夏山は、軍手と雨天用を持参する。
  • 春山、秋山、冬山は「ウール製品」を。

ホイッスル

  • 道に迷ったり、仲間との連絡、トラブルの連絡に使う「非常用」。
  • 大声を出すと、体力を消耗する。

地図とコンパス

  • 出掛ける前に「山の概要」を知るために、日程表と地図を照合してあらかじめ、
    「机上登山」で“予習”をすること。
  • 行動中、常に携行し、休憩時に確認する習慣をつける。

行動食

  • 「保存性」のよいもの。
  • ビスケット、チョコレート、干ぶどう、アメ、センベイ、コンデンスミルク、羊かん、
    サラミソーセージなど。

その他持参するもの

  • 健康保険証(写)に血液型と緊急連絡先を明記。
  • 洗面用具
  • ゴミ袋
  • 救急薬品
  • 持病薬(女性は生理用品)
  • ライターとマッチ
  • サングラス
  • 新聞紙
  • ナイフ

3 小物いろいろ

ストック(杖)

  • 常に補助手段として使用し、たよりにしすぎないこと。体重をかけすぎないこと。
  • 常に「山側」の手で使う習慣をつけること。「谷側」は、事故のもと。
  • 登りはやや「短め」、下りはやや「長め」に調節。
  • 使っていると、ストッパーが「ゆるむ」のでチェックを忘れずに。

スパッツ

  • 靴に「小石」や「雪」が入るのを防いだり、保温やズボンの汚れを防ぐ。雪のある季節や
    悪路は、ロング、他の季節はショートスパッツを。

マッチとライター

  • タバコを吸わない人が多くなり、マッチやライターを持たない人も多い。ポケットティッ
    シュと一緒にビニール袋に入れて非常用に携帯。

アイゼン

  • 積雪が予想される季節の必需品。山行前には、「着脱」の練習と、「歩行訓練」も
    あらかじめ行うこと。
  • 中級以上の山岳では、6本爪以上が必要。4本爪は、低山ハイク用。登山靴をゴムバンドで
    止める製品は、少しのショックで切れたり、外れるので危険。「ヒモ」で止めるものが安全。

→ 春・夏・秋山の服装と装備チェック表

4 行動中の注意

  • 歩きはじめの服装は、少し寒い位がよい。スタートすれば暖かくなる。
  • 「準備体操」は、しっかり行う。
  • 歩くときは、手で「荷物は持たない。」歩行中、飛び下りたりしないこと。
  • 手袋を着用。「クサリ場」「鉄ハシゴ」「岩場」は素手でつかんだ方が滑らない。
  • ザックの回りにコップやマップなどをぶら下げて歩かないこと。バランスがくずれ、疲れのもと。
  • 「飲料水」は、出発前に用意すること。
  • 空腹では、歩かないこと。
  • 「吊り橋」を渡る時は、少人数で、足並みを乱して歩くこと。歩調を合わせると、
    左右に振動して危険です。
  • 登山道のクサリ、ハシゴ、丸木橋などはあくまでも、“ 補助” として利用し、
    自分の手と足で行動すること。
  • 危険な場所は、あわてず、一歩一歩慎重に「3点確保」で行動すること。
  • 登山道では、浮き石に乗らないで、落石にも注意
    • 落石は起こさないこと。
    • 落石が発生した場合は、大声で他の登山者へ知らせること。
    • 雪渓での落石は、音を立てないで落下するので注意。
    • 雨が降る続いた時などは、浮き石が多くなり、落石が発生する。
    • 落石が発生している所は、周囲を見て迂回すること。
  • 歩きながら話したり、歌ったりしないこと。
  • 山では、登り優先が基本
    • 安全な場所で譲り合うこと。
    • 山側に身を寄せて待つこと。
  • 行動中は、汗をかくので薄着で。
    • 休憩地や山小屋では体を冷すと、筋肉が固くなり、思わぬトラブルにつながり
      疲労が倍加する。
    • 体を冷やさないことは、大切な技術。寒いと感じたら「すぐ1枚着用」すること。
  • 団体行動で歩く場合は、どうしても仲間と間隔があくこともあるが、無理をしないで
    後の登山者に譲ること。
  • トイレの「ガマン」は禁物。
  • ガンバリ過ぎは「事故のもと」
    • 体調が悪いときは、素直な気持ちで協力を求めること。
    • 常にお互いの体調を確認しあう気持ちが大切です。
  • 下山後、ビールやジュースを飲む前に、自ら進んで「ストレッチ体操」を行う習慣をつけること。
  • 山のマナーについて
    • 「ゴミは持ち帰る」
    • 「狭い場所では譲り合う」
    • 「山小屋では小声で話す」
    • 「火の用心」
    • 「高山植物を採らない」

5 山でのトラブル

  • 登山中の事故は、「転落と滑落」が全体の50%を占め、下山時が圧倒的に多い。
  • 下り時は、靴のヒモを締め直し、気持ちを引き締めること。
  • 難しい岩場や尾根などでの事故のほか、普通の登山道で足を踏み外して滑落するなど、
    信じられない「不注意のミス」が多発しています。
  • 登った「安心感」、下りは楽だという「気のゆるみ」、木の根や小石につまづいたり、
    浮き石やコケの石にのり、足を滑らせたり・・・「不注意」によるトラブルは非常に多い。
    十分注意して、とにかく慎重に歩を進めること。
  • 中高年は、どうしても平衡感覚や筋力が低下する。「転倒」しただけで手首や足首の
    捻挫・ 骨折をする人が多くなっています。
  • 下りは知恵を働かせて歩く。登りは「体力」、下りは「技術」
  • 一日の行動中、「13時から15時」ごろが疲れがたまり、「注意力が減退」するので要注意。

下着のご用心

  • 大正12年1月、日本人初のヒマラヤ(マナスル)に登頂された登山家の槇有恒氏ら3人が
    冬の立山で遭難。この時、綿の下着の1人が死亡、槇氏ら「ウール」を着用していた2人は
    助かる。 1989年(平成元年)10月、に立山で死亡した中高年の8人は「綿」の下着で、
    5人が「布製の軽登山靴」だった。下着は、クロロフャイバーや、ダクロンなどの製品を
    着用する。中間着で人気の「フリース製品」は、暖かいが「火」や熱に弱いのでタバコの火などに
    気をつける。

タバコと飲酒は要注意

  • 行動中の飲酒は、事故につながるので厳禁。
  • 高い山では、酔いが早く、体温を低下させるので、飲酒は防寒にならない。
  • 一日の終わりに、山小屋で少量の飲酒は緊張を和らげてくれ、よく眠れる。
  • 登山は、全身運動で多くの酸素が必要です。だから禁煙。できない方は、
    「節煙」を実行すること。

あなた、任せ!

  • あの人に任せておけば大丈夫。私はただ、ついて行くだけ。歩くルートも、どこで泊まるかも
    全く無関心・・・。「観光気分」では、山歩きはできません。しっかりした心構えと
    事前事後の学習、日頃の健康管理、トレーニングはとても大切です。

「マナーをまもって!」

  • 帰路、汗臭いシャツを着てバスや電車に乗るのは、マナー違反。日帰りでも着替えの
    シャツくらいは、持参したい。

「調子が悪い時は、自ら下山」

  • 登山の当日、風邪気味や疲労が残っているときは、参加を中止すること。
  • 登山を開始して30分位歩いていても、いつもより体調が悪いと思うときは、
    自らすすんで下山を申し出ること。決してはずかしいことではありません。
  • 歩き始めの30分は、ゆっくり歩いて「心臓」「呼吸」「筋」などの身体調整を意識して歩く。

「安全な場所」で休憩する

  • 休憩する時は、ザックは「山側」に置くこと。
  • 他の登山者に迷惑にならないところに腰を下ろす。
  • 大きく4〜5回「深呼吸」をして、呼吸を整え、気分落ち着かせる。
  • 衣服の点検と調整、現在地の確認、水分の補給、靴の履き具合やザックのバランスのチェック
  • 出発する時は、忘れ物に注意。

すぐ「息苦しく」なる

  • ゆっくり、歩幅を小さく、足をマメに運ぶことがコツ。休憩の際は、深呼吸を大きく
    5回位を行い、腰を下ろす。

足が「つる」・・・

  • 登山中に「足がつる」・・・明らかに運動不足が原因。日頃からトレーニングを。
  • 筋肉痛と関節痛は、登山中に最も起こりやすい。ストレッチを。

山の天気は、よく変わる

山間部は、平野部より天候の悪化が早く、晴天への回復が遅い。

靴ズレや「マメ」と「ツメ」

  • ゆるめの靴は、靴下が靴の中で「足が遊ぶ」のでマメや靴ズレができる。靴の相性が悪い
    ときは、前もって足にテープを貼る。
  • 伸びた「ツメ」は、出発前に切ること。足のツメがのびていると、下りでは生ツメをはが
    すことになる。

登山用品のメンテナンス

  • 帰宅したら、使用した登山用品や服装をチェックし、次回の登山に備える。そして復習も忘れずに。

無理は禁物

  • 経験を積むと、高い山々に登りたくなる。あの人が登ったから、私も登れる。せっかくきた
    のだからあそこにも。登りたい気持ちはわかりますが、「登りたい山」と「登る山」は、全く
    違います。こんな気持ちの時は、要注意。

ある日、「突然」・・・

  • いままでの山行では、何事もなかった。今回は、足をつったり、体調がいつもと違うぞ。こ
    れは、身体に変化が現れた証拠で“要注意信号”です。過信は、最も恐ろしいことです。
  • 次回の山行からは、必ずランクを下げ体調をチェックすること。
  • 年に2回位は、定期的に健康診断を受け、特に「心肺機能」のチェックをすること。

道に迷ったら・・・

  • 来た道を引き返し、はっきりしているところまで戻る。
  • 谷筋には、絶対に降りない。
  • 歩き回ると体力を消耗し、ますます分からなくなる。
  • ホイッスルで連絡を取り合う。

避雷の心得え

  • 姿勢を低くする。
  • 山頂、尾根、大きな岩や木の下を避ける。
  • 危険を感じたら、ピッケル、カメラ、時計、カギなどを体から離す。
  • 大勢で一緒に行動中は、分散する。
  • 小さくしゃがんで雷と雨をしのぐなど、少しでも「地表よりも低くする」ことが唯一の方
    法といわれています。

気温と体感温度

  • 高度が100メートル高くなると気温は0.6度下がります。平地で30度の真夏でも
    3, 000mでは、12度となり、体感温度は、風速1m増すごとに1度下がり、
    雨で濡れるとさらに冷える。暑さ寒さは、重ね着で調整。

バテない歩き方

  • 平地の3分の1の速度でゆっくり、歩幅が大きいと足に負担がかかるので「歩幅を小さく」、
    足裏全体をつけた「ベタ足」で歩く。そして呼吸の仕方を工夫して、水を適度に飲む。
天気ことわざ
  • 山が傘をかぶると雨が降る
  • 雲が西(北)へ行くと雨、東(南)へ行けば天気になる。
  • 太陽(月)が傘をかぶると翌日は雨
  • 高い雲と低い雲が、逆方向に流れると風や雨
  • 羊雲が出ると雨
  • 煙がたなびくと晴れ
  • 朝焼けは雨、夕焼けは日和
  • 星がまたたくと、明くる日は風強し
  • 朝雷に川渡りはするな
  • 東の雷、雨降らず
  • 朝虹は雨、夕虹は晴れ
  • 鐘の音が、近くに聞こえるのは雨
  • 遠山が、近くに見えると雨が近い

注:掲載した内容は、毎日新聞旅行(大阪)/毎日登山会発行「山歩きのコツ」から引用した。

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